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東日本大震災から間もなく7年、東北沿岸の町の復興は少しずつではありますが着実に進んでいます。高台に移転する町、壁のような堤防を作る町、以前の町の上に土を盛り新たに宅地を作る町・・・。
僅かに残っていた以前の町の面影も、残念ながら一つひとつ無くなりつつあります。
しかし、被災した人たちの心は、まだまだ安らかとは言い難いのが現実です。
やり場のない悲しみや怒り、割り切れない思いを抱えている人がたくさんいます。
そんな気持ちを少しでも軽くし、ほぐすきっかけになればと立ち上げた企画です。
口うるさい両親、煩わしいと思う時もあった親戚付き合い。友人とのバカ話。
日常のさもない出来事や騒がしい浜言葉のやり取りが懐かしく、温かく思えます。
あの町の風景、人々、風、音、匂い、そして家族や友人との何気ない思い出。
町が無くなってもこれらは忘れたくない。そして忘れて欲しくない。
そう思いながら、戯曲『ファミリーツリー』を書きました。
この物語が、そんな懐かしい人や町を思い出すきっかけとなり、この物語を媒体として、
遠く離れてしまった人たちと心の中で語り合う時を持っていただけたらさいわいです。
沿岸地域の市民有志による朗読と、宮城県内で活動する俳優による演劇を通じて、
被災した人びとの心に寄り添うことが私たちの目的です。
2018年1月
作・演出 相澤 一成(名取市閖上出身)
ファミリーツリー製作委員会代表 伊藤 み弥(名取市閖上出身)
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